ご質問:生徒の親御様に発達障がいのことを聞いてもいいものなのでしょうか
★生徒さんの状況
・小学校の通常級に通っている。
・おうちでピアノの練習はある程度してくる。
★先生のご質問内容
レッスン中に自分の思う通りに弾けないと、「やらない!」と投げやりな態度になって弾かなくなることがあり困っています。
このような状況になったとき、生徒にどのように声掛けして対応したらよいのか悩みます。
私は生徒さんと楽しくレッスン出来たらよいなあと思っているので、私が困っていることをお母様にお伝えしてよいのか迷います。
たとえば、生徒さんが音を間違えて弾いたとき、「もう一度弾いてみて」と言うと、「間違えてない!」と言い、気まずい雰囲気になることがあります。
ピアノの先生が、生徒さんの親御さまに『発達障がいのことを聞いていいものなのでしょうか』
★音楽発達心理士®がお応えします
ご質問いただいた先生がお困りのことは、結構多くのピアノの先生が経験しているのではないでしょうか。
私も先生のお話を聞いて、「あるある、そんな生徒さんはよくいるなあ」と思いました。
先生からいただいた文面だけなので私の推測になりますが、私が思うことをお伝えします。
初めに「うまく弾けないところになると、投げやりな態度になり弾かなくなる」生徒さんについて考えてみましょう。
この生徒さんの年齢がわからないのですが、小学生であることはわかります。
ただ小学生といっても1年生なのか4年生なのか、または6年生なのかで全く対応は違いますが、もし低学年の生徒さんなら、言葉で上手に自分の気持ちを伝えられないから、投げやりな態度になってしますのかもしれません。
また困った生徒さんの声掛けについてのご質問ですが、何歳から先生が教えていらっしゃるのかによっても対応は変わるかもしれません。
ピアノの先生と生徒さんが上手に関係性を築くことができれば、先生は子どもたちにとって、だれよりも信頼できる身近な大人になれるんです。
だから、生徒さんの年齢と、先生がご指導を始めてからどのくらいの年数が経ってるのかで、生徒さんに対する声掛けは変わるはずです。
生徒さんが先生の言葉に素直に耳を傾けてくれるように、先生のほうから生徒さんに寄り添う声掛けレッスンができるとよいですね。
★親御様との信頼関係の構築
次は「私が困っていることをお母様にお伝えしてよいのか」と言う先生のご質問ですが、先生と親御様との信頼関係がどれだけ出来ているかということが重要だと思います。
親御様は「ピアノの先生は、うちの子をピアノが弾けるようにしてくれる専門家」だと思っています。
それは、たとえ発達の遅れがあったとしても、ピアノの先生なんだから、子どもがピアノを弾けるようにしてくれるはずと信じていらっしゃるはずです。
先生がこの生徒さんにピアノを教えようとお引き受けした時から、親御様の願いを受け取ったことになります。
そうはいっても、先生のご質問の中にもあるように「生徒さんとのコミュニケーションも大切だと思うのです」というお考えは私も同感です。
特に子どものピアノのレッスンでは、ピアノを弾くだけではなくて、お話もしますよね。
もし生徒さんの指導で困ったときは、「なんで弾けないのかな?」とか、「どのくらい練習したの?」とか、「この曲、難しい?」と、生徒さんの気持ちに寄り添いながら、問いかけてみてください。
生徒さんと先生の対話こそがコミュニケーションなのです。
このように先生が生徒さんと上手にコミュニケーションを取りながら、なぜ生徒さんが「やらない!」と投げやりな気持ちになるのかよく観察してみてください。
コミュニケーションは、言葉を使って話すだけではなく、態度や目線や表情にも表れるので、よく注意して生徒さんを観てあげてくださいね。
★生徒の親御様に障がいのことを聞いてもいいものなのでしょうか
ここまでお読みいただいて、いかがでしたでしょうか。
コミュニケーションは、言葉だけではないことをお分かりいただけたでしょうか。
先生の指導のお困りごとに、私の声掛けのアドバイスは役立ちそうでしょうか。
ピアノの先生はあくまでもピアノを教えるプロです。
発達の障害については専門家ではないので、先生から親御様に「障がい」という言葉を投げかけるのはもう少し様子を見たほうがよいかもしれません。
言葉以外のコミュニケーションにも気をつけながら、子どもさんのやる気を引き出してあげてください。
そして、また何かご質問がございましたら、ぜひ音楽発達心理士の講座や先生のコミュニティでご相談ください。
悩みをひとりで抱えず、様々な指導法を学ぶと楽しくレッスンができるはずです。
貴重なご質問ありがとうございました。