音楽発達研究事業
発達の心理的支援における音楽の位置づけを解明する
音楽と心理学の研究は様々な側面から行われており、「音楽と感情」や「音楽と認知」また「音楽療法」なども多く取り上げられています。
当協会の事業は、コミュニケーション力を育む「音楽あそび」を発達年齢に応じて行うことによって、子どもの音楽表現がどのように変化するのかを観察するとともに、心理的働きを解明する研究に取り組んでいます。
音楽発達心理士®更新研修2022年度 公開動画
乳幼児期の子どもと音楽的発達の主なテーマ
- 「1歳児と母と指導者による音楽的な活動-母親と指導者の働きかけによる音楽的な発達の変化―」の研究
1歳児のコミュニケーション能力の発達と音楽体験のプロセスを観察するために、創造的音楽活動体験の場を設定し、子どもの発声と楽器による応答の変化の分析を行った。
- 「1歳半児と親が音楽体験を楽しみ、コミュニケーション力を育むコンサートプログラム作成」の研究
1歳ころの子どもたちは人や物に興味を持つとともに言葉の発達が見られる時期である。この時期に良質な音楽体験を行い「音楽あそび」を通して子どもの思考をも促すプログラム作成に関する研究を行っている。
音楽と心身医学に関する研究の主なテーマ
- 「音楽を使った連想実験と気分調査の実験結果と、P-Fスタディ、エゴグラムの結果との比較」の研究
多くの人は音楽を聴くことによってさまざまな気分を感じイメージを浮かばせることに着目し、複数の質問紙を使って反応傾向の違いを比較検討した。
- 「CASK遺伝子異常の子どもの音楽的発達」に関する研究
親子の対話および音楽的発達プロセスを縦断的に分析するために、母親の言葉かけ、歌いかけを交流分析理論を使った質的研究に取り組んでいる。
音楽子育て相談による質的研究の主なテーマ
- 「親子のピアノグループレッスンにおける母親の子どもに対する気持ちの変化」の変化に関する研究
子どもの発達に合わせた「手づくり音楽プログラム」開発にも取り組んでいます。
子どもの認知的発達の課題はそれぞれ異なります。たとえば見え方の問題など認知に困難を抱える子どもたちは、楽譜を見ながら演奏することが難しい場合があります。視覚に問題があるわけではないのですが、何らかの認知の問題がみられる場合があります。
楽譜をどのように認識しているのか本人も周りの大人も、子どもが何に困っているのか判断がつかないのですが、楽譜をその子の問題に合わせた工夫をすることで、簡単に弾けるようになることがあります。
音楽発達研究事業では、子どもの状態に応じた「手づくり音楽プログラム」を作ります。音楽プログラムによって作成した「個別楽譜」は音楽子育て事業で認定教室やイベントテキストとして使っています。
養護学校高等部 参加型コンサート&音楽あそびワークショップ「音楽で言語能力やコミュニケーション能力を促す」活動報告
企画および実施内容
授業見学1回(担任教諭との聞き取り含む)
音楽授業見学1回(プログラム立案打ち合わせ含む)
プログラム内容
- メロディ―楽器でコミュニケーション音あそび
- 絵本とハンドドラムでリズムセッション
- ピアノでリズム連弾あそびを体験しよう「チャールダッシュ」
- メロディー楽器で即興創作演奏「コール&レスポンス」
- 音楽を聴こう「アイリッシュハープの演奏」
音楽あそび参加人数
高校1年生10名+担任教諭2名
コンサート参加人数
高校1年生、2年生計25名+教諭6名
担任教諭からの感想
導入から今までに取り組んだことのないような活動が体験でき、新鮮に感じている様子だった。
反面やることへの理解がようやくでき、気持ちがのりはじめたころに活動が次から次へと移ってしまっているときもあり、プログラムとして、もっと時間をとって取り組んだり、継続した取り組みを計画できたりすると効果がよりあるだろうと思われる。
また自分のしたことや表現したことを客観的に捉えたり、評価をうける場面を設定できると、本人たちにとって達成感や、自信につながっていくように思った。
お忙しい中、ご来校いただき、プログラムと演奏会の実施ありがとうございました。
今回教員として気づくこと、学ぶことの多い経験させてもらいました。今後の生徒たちへの指導に活かしたいと思います。
参加生徒の親からの感想
- 「お子さんは、今日の活動に参加されて、どのような様子でお話されましたか?
にこにこしながら、2人組で、リズムで応えたことや、絵本に合わせてタンバリンを鳴らしたことを話していました。アイリッシュハープは、音が心地よくて、子守歌のようだったと、言っていました。
- 音楽活動に対してのご興味、ご要望等がありましたらご記入ください。
また、教室に来ていただけたら嬉しいです。ありがとうございました。